プロジェクトの概要、ビジョン、設立の経緯、柱となる行動基準15ヶ条の詳細について紹介します。
『#MenWithWomen』について
「#MenWithWomen」は、ジェンダー平等社会にふさわしい男性のあり方を普及・推進するプロジェクトです。
ジェンダーの問題と聞くと、おそらく「女性の問題」と捉えている人が多いのではないでしょうか?
ですが、女性差別を生み出し、維持しているのは男性中心社会であるため、これは「男性の問題」に他なりません。
それゆえ、男性こそ当事者として主体的に女性差別の解消を推進するべきなのです。
そのムーブメントを起こすべく、私たちは2022年11月19日の「国際男性デー」を機に新しいプロジェクトをスタートしました。
それが「#MenWithWomen」です。
『#MenWithWomen』のビジョン
「#MenWithWomen」では次のような2つのビジョンを掲げています。
- ジェンダー平等社会にふさわしい男性になろう!
- そのような男性を「あるべき男性像」として広めていこう!
そのようにして女性と連帯する想いを込めて、プロジェクト名は「#MenWithWomen(メン・ウィズ・ウィメン)」と名付けました。直訳すると、「女性とともにいる男性」という意味になります。
『#MenWithWomen』が設定する行動基準15ヶ条について
『#MenWithWomen』では、ジェンダー平等社会に向けて男性がやるべきことや目指すべきことについて、具体的にかつ分かりやすく示すために、ゴールとタスクを15個項目設定しました。
それがこちらの「ジェンダー平等社会にふさわしい男性のあり方・#MenWithWomen行動基準15ヶ条」です。個々の詳細については、ページ下部をご覧ください。

国連が提唱する「 SDGs 」の「人類がこの地球で暮らし続けていくために、2030年までに達成すべき目標」にならってデザインしました。
『#MenWithWomen』の活動について
インターネット上のキャンペーン活動を通じて、賛同人の輪を広げていくことを基本としています。
今後は、企業研修の実施、教育現場での講座の提供、絵本の出版等、様々な展開をして、この社会に『#MenWithWomen』を広めていきたいです。
そこで皆さまにも、次の2つのアクションをお願いしています。
賛同のお願い
このプロジェクトのビジョンと行動基準15ヶ条にご賛同いただける「賛同人」を募集しています。
賛同人は本サイトの「賛同人紹介ページ」にて、お名前と肩書き(一部の方は一言メッセージも)を掲載させていただきます。
もし、ご賛同いただける場合は「賛同のお願いページ」から必要事項のご記入をお願いいたします。もちろん、性別や年齢は問いません。
寄付のお願い
活動資金について寄付・カンパを募集しています。
現在は有志による手弁当でプロジェクトの運営をしておりますが、サポートしていただける皆さまと一緒にプロジェクトを盛り上げたいと考えています。
資金は主にサイトの運営資金や営業活動費等に充当させて頂く予定です。
ソーシャルアクション支援サイト「Social-Activist.com」の専用ページにて受け付けておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
プロジェクト発足の経緯
「#MenWithWomen」は、以下2つのきっかけで発足しました。
「次のフェーズのアクション」へ向かう必要性
「男性×ジェンダー」に関するこれまでのキャンペーンは、「男らしさから自由になろう」というメッセージが発せられることが多かったと思います。
ですが、社会全体を見渡せば、男性が加害者で女性が被害者になるケースが圧倒的多数で、女性差別が社会のあらゆる場面に存在しています。
そのような社会をジェンダー平等へと変革するためには、男性が自身の自由を求めるだけでは足りません。
女性差別の解消に対し、男性が当事者として主体的に推進するという次のフェーズのアクションが必要だと考えました。
「男性がやるべきこと」を示す必要性
女性差別や搾取の問題に対して当事者運動を展開している女性たちの中には、「ジェンダーの問題に興味があると言って、女性主体の活動に絡んでくる男性が多すぎて困っている。男性の問題を自分たちでやってほしい」と訴える人が少なくありません。
その手の話を聞くたびに、「男性がやるべきこと」が見えていない男性が非常に多いことを痛感させられました。
そこで、自分たちがやるべきこと(タスク)や目指すべきこと(ゴール)を具体的に示し、男性も当事者として主体的に参加できるような「受け皿」を作らなければならないと考えました。
『#MenWithWomen』行動基準15ヶ条について
「#MenWithWomen」の掲げる行動基準15ヶ条について詳しく紹介します。
地位や席を女性と分け合おう

日本社会は指導的地位に占める女性の割合が異常なまでに低く、ジェンダーギャップ指数も116位(2022年)と大きく遅れています。
また、マスメディアやシンポジウムでの発言者が男性に偏るなど、様々な場面において地位や席を男性多数で占有している状態です。
それらによって、女性が直面する様々な社会課題が、政治や企業等の意思決定の場でなかなか俎上に載らず、改善が遅々として進まないことにもつながっています。
「パリテ」(=50対50)を目指すべく、組織や会合等が男性ばかりに偏っていたら、「良くないと思う」「半数は女性に」という声をあげていきましょう。
男女で異なる対応・評価をやめよう

以下のように、男女で異なる対応や評価をする男性が少なくありません。
- 女性を無知だと決めつけて上から目線で求めらていないアドバイスをする
- 女性に対してのみフランクor失礼な言葉遣いをする
- 相手が失敗や悪いことをした際に、男性には女性よりも甘い評価を下す
- 女性の話は聞き入れないのに、全く同じことを男性が言えば聞く耳を持つ
- 性経験の多い男性はプラス評価するのに、女性はマイナス評価する
- 家事育児をする女性は特に評価しないのに、男性がすると「イクメン」として持ち上げる
仮に、本人に意図が無くとも、無意識の偏見(「アンコンシャス・バイアス」と言います)によってそのような対応・評価をしてしまっている人も、珍しくないでしょう。
「同じことを男性にもするor言うだろうか?」と男女を入れ替えた想定をして、女性への対応・評価を見直しましょう。
性役割や性差別的ルールを変えていこう

社会のあらゆるところで、性別役割分業や性差別を含んだルール、マナー、文化、社会通念等が根強く残っています。たとえば、以下のようなものが事例としてあげられます。
- 夫がメインで働き妻がサポートすることを当たり前のように扱うテレビ番組
- 子供が保育園に落ちた時に、妻が仕事をやめるのが当たり前という社会の認識
- 「女性らしい、しなやかな○○」のような役割の押し付け
- 「雌雄を決する」のような女性差別を内包した日本語表現
- 男女で異なる服装や校則や職場の服務規程
- 女性に対するメイク・スカート・パンプスの強要
「それがルールだから」などと思考停止せず、性別役割分業や性差別を含んだものには一つひとつ異議を唱えていきましょう。
一人だけでは難しい問題には仲間を募り、力を合わせて改良・改善を促していきましょう。
女性との距離感を適度に保とう

良好な人間関係を構築するためには、親密度に適した距離感を保つことが欠かせません。
とりわけ、体格差や社会的権力差がある者からの距離感を無視した接近は、相手に恐怖感や不快感を与えるため、男性は女性との距離を縮めることに対してより慎重になるべきです。
ところが、逆に距離感をはき違える男性が少なくありません。たとえば、以下のような言動が典型例です。
- いきなり「ちゃん付け」やタメ語で話す
- さほど親しくないのにプライベートな質問をする
- 段階を経ないデートの誘いや性的な誘いをする
自分相手には親しみを持っているつもりなのかもしれませんが、同じ行動・言動を上司や権力者の妻・娘にもするでしょうか? 結局は相手を下に見ているがゆえの行動なのです。
女性も対等な人であるという認識のもと、女性に対する自身の行動を見直し、適切な距離感を保つように心がけましょう。
女性にケアの役割や聞き役を求めない

女性を対等な人間として捉えず、男性である自分たちをケアする役割や、一方的な聞き役を求める男性が少なくありません。たとえば、次のような例があげられます。
- パートナーに一方的な身の回りの世話や”癒し”を望む。また、そのような女性を「良妻」として持ち上げる。
- お茶くみ、お酌、きめ細かな気遣い等を女性にだけ期待する。
- 男性ばかりの場における”飾り”や”潤滑油”としての役回りを女性に期待する。
- 頑張ったご褒美に女性が自分に好意を持ってくれるor愛を深めてくれるはずだろうと思い込む
これらは全て女性蔑視が原因です。女性を対等な人間として捉え、相手に対する期待は自分が応えられる期待と同程度に留めましょう。
また、会話は一方的なドッジボールではなく、双方向のキャッチボールとして楽しむようにしましょう。
パートナー関係をフェアにしよう

パートナーは本来人として対等であるべきにもかかわらず、この社会ではアンフェアな異性愛の関係が多数存在します。あからさまなDV、デートDV、モラルハラスメント等に限らず、以下のような「関係性の不均衡」も少なくありません。
- 日本人男性の家事育児の分担率が、主要国の中でも異常に低い
- 婚姻時の改姓は96%女性がしている
- 妻が働くことに対して、夫がまるで決済権者かのように許可をしたり、理解を示す関係性
- 男性が自分で心掛けている程度以上の美容を女性パートナーに求めること
そもそも「ご主人」「嫁」「旦那」「家内」のように、パートナーを表現する言葉自体に女性差別が内包してしまっている状態です。
お互いが対等な意思決定権者として相互コミュニケーションを図りながら、意識して男女のアンフェアを解消し、対等なパートナシップを実現していきましょう。
女性への暴力・ハラスメントを無くそう

この社会は女性に対する様々な暴力やハラスメントが蔓延しています。
あからさまな身体的暴力は当然のこと、精神的暴力、経済的暴力、性暴力(痴漢、盗撮、覗き行為、同意無き身体接触、リスキーな性行為、リベンジポルノ等も含む)も暴力の一種です。
中でも性暴力は軽視されがちで、それらの加害者を擁護する言説や、被害者を批判するセカンドレイプも蔓延しており、決して女性にとって「治安が良い社会」とは言えません。
また、以下のような様々なハラスメントが女性の人権、尊厳、「心理的安全性」を脅かしており、「生きづらさ」を感じている女性は少なくありません。
(パワハラ、モラハラ、マタハラ、SOGIハラ、アカデミックハラスメント、マリッジハラスメント、ジェンダーハラスメント、ストリートハラスメント、ジロ見ハラスメント、セカンドハラスメント)
自分が加害者にならないのは当然のこと、女性に対するあらゆる暴力やハラスメントを無くしていきましょう。
女性差別・蔑視表現の無い社会に

女性差別や女性蔑視を含んだ表現や、性別役割分業を肯定的に描く表現が、現実社会における差別・蔑視・性役割を再生産しています(いわゆる“二次元”の表現も含む)。
とりわけ、それらが男性の認知を大きく歪ませており、女性差別や女性蔑視に染まる主な要因の一つになっています。
また、女性の性をアイキャッチにする表現や、異性愛男性にとって都合の良い女性像を描いた表現を公に掲げることは、人間としての自尊心や、「自分の体は自分のもの」という感覚、社会で暮らすことの「心理的安全性」等を女性から奪う効果もあります。
もちろん、それらは教育の観点からもゆゆしき問題です。にもかかわらず、日本は野放図の状態です。
表現の公正性と表現の自由を両立させているジェンダー平等先進国にならい、的確な批判の声を上げることと、一定のルールを設けるよう促すことで、女性差別・蔑視表現の無い社会を実現していきましょう。
女性の外見ジャッジをやめよう

女性の容姿を一方的にジャッジ・品評をする男性は少なくありません。その大半が、ルッキズム(外見に基づいて人の価値に優劣をつける差別)やエイジズム(若さに基づいて人の価値に優劣をつける差別)です。
もちろん、個人の恋愛や性に関する好みが外見的要素に影響を受けること自体は否定しません。ですが、他者(第三者含む)に自身の「ジャッジ」を伝えるのは、差別的価値観の押し付けであり、ハラスメントに該当する場合もあります。
そもそも「他人の外見に対して本人の前で言及することはタブー」という国ですら珍しくありません。
自分がジャッジしないのは当然のこと、ジャッジする男性を見かけたら、「それはよくないと思う」という声をあげていきましょう。
男性だけの性的満足にNOを

ジェンダー平等や性の多様性を含む人権尊重を基盤とした「包括的性教育」が、先進国では主流になりつつあるにもかかわらず、日本ではほとんど行われていません。
それゆえ、性に関する女性蔑視的な価値観が社会に蔓延っています。とりわけ、女性にも性的主体性や性的満足があるにもかかわらず、それらを理解できず、以下のような思い込みをしている男性は少なくないでしょう。
- 「性行為・性的接触=主に男性側が性的満足を満たすもの」という思い込み
- 女性の身体は男性の性的欲求を満たすための道具であるという思い込み
- 自分たち男性は性的満足を享受する権利があるという思い込み
日本の漫画・アニメなどで見かける「ラッキースケベ(意図せず女性の性的な部位を触ってしまうようなシーン)」の描写や、異性愛男性の妄想であるAVを実際の性行為の教科書のように模倣する「ジャンクセックス」が蔓延しているのは、その証左です。
今からでも「包括的性教育」をしっかりと学び、性に関する女性蔑視的なコンテンツとの接触を極力避けて、女性も男性と同じで性的主体であり、対等な存在であるという認識を徹底していきましょう。
女性を買わない、”枕”を求めない

ジェンダー平等の意識や真っ当な人権感覚が備わっている男性であれば、女性の性を金銭で買うという人身売買的な行為はしません。
というのも、「お互いが性的接触や性行為をしたいという情熱を伴った性的同意」こそ、本来の性的同意だと思いますが、買春等には構造上それが存在しないからです。
それゆえ、女性の性を買う行為や、それに類似する購買行動(いわゆる「パパ活」等)は、売る女性の意思や表面上の同意とは無関係に、それ自体が「社会的強者である属性を利用した性的搾取」という加害行為です。
優越的地位を利用した性行為・性的接触(たとえば役職・仕事・就職・契約等を提供する優越的な立場を利用して性的関係を持つこと)も、対価が金銭ではないだけで構造上は同じです。
自分たちが買春や優越的地位を利用した性行為等をしないのは当然のこと、それらをこの社会から無くしていきましょう。
未成年女性を性的に扱わない

大人には子供を守る責務があり、未成年と性的な関係を持たないのは当然のこと、性的に扱うこと自体するべきではありません。
ところが、この社会では以下のように未成年を性的対象として扱う「ロリコンカルチャー」があまりに広く蔓延しており、現実の未成年に対する性暴力や性的搾取を助長しています。
- 学校制服等を一種の「性的記号」として扱うこと
- 未成年のアイドルをアイキャッチに使うこと
- 未成年に見える少女を性的対象に描いたアダルトコンテンツ(いわゆる“二次元”の表現も含む)
自分自身が未成年を性的に扱わないのは当然のこと、児童への性搾取に厳しい先進国並みのルールを設けるよう促すことで、大人としての責務を果たしていきましょう。
男性だけのなれ合いと縁を切ろう

男性の集団がなれ合い的関係に陥ると、以下のような悪しき文化が生まれることが少なくありません。
- 本来は社会全体にとって「有害な男らしさ」を賞賛して高め合う
- モテ・非モテ等、様々なカースト意識を植え付けて、男性の中の序列を作り出す
- 女性への加害の共犯関係になることで、男性同士の結束力を作り出そうとする
- 男らしさの基準から外れる男性に対して、同調圧力をかけて矯正させようとする
このようななれ合いは「ホモソーシャル」と言われており、これを通じて多くの男性が、男尊女卑的な価値観を増幅・内面化させると言われています。
可能な限りそのようななれ合い的関係からは距離を置き、男尊女卑的な価値観の”感染”を防ぎましょう。また、第三者への”感染拡大”させないためにも、なれ合いの危険性を強く訴えていきましょう。
自省とアップデートを続けよう

男尊女卑が根強いこの社会で生きている限り、以下のようなものを抱えている男性が大半だと思います。
- 女性に対する偏見・蔑視
- 女性差別の実態や被害者の置かれた状況に関する無知
- 男らしさに関するコンプレックス
- 男性が特権を持っていることに対する無自覚さ
- 女性に対する歪んだ被害者意識
ですから、一人ひとりがこれらに対して真摯に向き合い、自省とアップデートを続けることが欠かせません。
とりわけ、それらについて指摘を受けたときは、決して反発、話の遮り、自己主張、論点ずらし、言い方に対する苦言等は一切せず、まずは素直に話を聞き、事実を受け入れることから始めましょう。
そして、男らしさに自尊心を依存せず、人としての自尊心を育てていきましょう。
傍観者・中立マンを卒業しよう

これまで書かれた1~14の項目に関して、自分自身は遵守できているという人でも、遵守できていない他の男性に対して傍観・沈黙・中立的振る舞いをすれば、結局のところ女性差別の共犯者に他なりません。
加害者と被害者で力関係に勾配が生じているわけですから、そのような態度は現状肯定の効果しか生まず、たとえ本人が意図せずとも、加害者に加担・ほう助することになってしまいます。
「行動する傍観者(Active-Bystander)」として、しっかり苦言や注意ができる男性になりましょう。もし一人で言い出すのは怖いのであれば、一緒に言えるような仲間を普段から作っておきましょう。